広島 似島フィールドワーク
2022年8月7日訪問
広島市内の海側に開けたところから見ることができる安芸小富士
似島は宇品港から船で20分くらいのところにあります。
1895年(日清戦争の時)に陸軍の第一検疫所(後に弾薬庫や倉庫)
1904年(日露戦争の時)に陸軍の第二検疫所
1940年に馬匹検疫所が設けられました。
また、1944年には特攻隊の兵舎や訓練施設も作られていました。
1945年8月6日、原爆で傷ついた人たちがたくさん運ばれて来て、亡くなった場所です。
私、広島出身ですが、似島へ行くのは初めて。
ちなみに2022年5月に宇品港へ券売機が置かれて、そこで往復券を買うと10円お得です。
似島汽船HP「券売機のみのお得な新企画について」
券売機がなかった頃は船に乗るときに直接払ってたそうです(今でもその乗り方できます)。
キャッシュレスへの対応などのためだとか。
船内ではこの地図をもらっときましょう。
今回はこの地図を作った竹内さんに案内していただきました。
朝8:30の便で宇品港を出発
似島桟橋 google mapでこの辺
第一次世界大戦で捕虜として収容されたドイツ人(カール・ユーハイム)が広島県物産陳列館(今の原爆ドーム)で日本で初めてバウムクーヘンを焼いた、ということで「バウムクーヘン日本伝来の地」
お手洗いはここで済ませておいて、出発
町中へ入っていってしばらく歩くと
説教所 google mapでこの辺
8月6日には被爆者が次々とここに運び込まれたそうです。
建物は当時のままだとか。
臨時の救護、看護は地元民、特に婦人会の方々を中心にして献身的な奉仕活動がなされた。しかし、説教所の救護所では負傷者の治療等を十分に施すことが出来ない為に峠を越えた向側の似島検疫所まで臨時搬送されていった。
(『似島の口伝と史実1』p.31より)
馬匹検疫所跡
急な坂道を登って、峠を越えると似島小学校・似島中学校の所へ出てきます。
ここはかつての馬匹検疫所の跡地
馬匹検疫所というのは、戦場から戻ってくる馬などを検疫する場所。
中学校の崖側にはコンクリートで埋められた防空壕の跡が残っています。
google mapでこの辺
中学校を抜けて、その先の坂道を登った先に
特攻隊の訓練施設跡 google mapでこの辺
似島のこの場所には特攻隊の訓練施設がありました。
軍用桟橋が残っています。
海を挟んでちょうど向かい側
の江田島「幸の浦(こうのうら)」には特攻隊の基地があり、そこには慰霊碑があります。
似島中学校の方へ戻ってきて
慰霊碑 google mapでこの辺
慰霊碑のすぐ近くには
慰霊の広場
ここは遺骨の発掘がおこなわれた場所で、たくさんの遺骨や遺品が見つかったそうです。
そして
似島平和資料館
HPはこちら
コロナで見学は休止中だったんですが、特別に見学させていただきました。
似島の歴史を一通り知ることが出来ます。
海沿いを少年自然の家に向かって行く途中にある食料品店のすぐ先あたりに
将校の宿舎跡 google mapでこの辺
今は何も残っていませんが、広島市内で被爆した韓国の李殿下が、ここにあった将校の宿舎へ運ばれて亡くなったそうです。
臨海少年自然の家辺りは第二検疫所跡。
今工事中なんですが、その片隅に
馬匹検疫所焼却炉 google mapでこの辺
馬匹検疫所にあった焼却炉がここに移設されています。
この焼却炉で亡くなった被爆者も焼かれました。
海沿いに
第一〜第三桟橋 google mapでこの辺
ここから海沿いをテクテクと歩いて似島学園へ向かいます。
途中、ほとんどの人が見逃すと思われる石柱
google mapでこの辺
「海軍省」というのがかろうじて読めます。
ここが要塞地帯であるということを示しているそうです。
ここから先の山側は草木が生い茂ってるだけに見えるんですが、
よく見ると何やら人工物
これは航空写真を見比べるとわかりやすいです。
国土地理院の地図・空中写真閲覧サービス
を使ってこの辺りの航空写真を見比べてみます。
(国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスを利用し、画像の一部をトリミング)
画面上側にある似島学園から海沿いの道を下に向かうところ(画像真ん中)
2018年は緑に覆われてますが、1975年の写真には建物が写っています。
ここは弾薬庫の跡です。
土塁などが残っています。
もう少し似島学園に沿って海沿いを行くと
軍用桟橋 google mapでこの辺
ここから弾薬や荷物などを陸上げして、トロッコで弾薬庫や倉庫まで運んだようです。
そして、ここからは広島市内(爆心地方向)が望めます。
1945年8月6日
検疫所にある薬などを求めて多くの被爆者が似島に運び込まれ、亡くなりました。
フィールドワークはここでおしまい。
14:50似島学園前桟橋から宇品へ戻りました。
軍都広島、原爆そして原爆孤児、ここはまだまだ知るべきことが多そうです。
更新履歴
2022年8月15日 新規作成
2024年1月2日 移行に伴う見た目調整
2024年1月5日 訪問日追記
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『似島の口伝と史実 [1]島の成り立ちと歩み』 似島郷土史編纂委員会(1998年) ↩︎