アメリカ訪問
2015年4月27日(現地時間)ハーバード大学ケネディ・スクール
■スピーチ(一部)
改革は、たとえその経済合理性に十分説明がついても、周到な政治プロセスを作り上げない限り、成功はしません。
政治プロセスとは、議会と内閣の関係、与党と野党の関係、そして利害関係者や国民、更にはまたマスコミとの関係です。これを適切にマネジメントできなければ、改革は成就できません。
改革を支持する人たちは、多くの場合、多数派です。しかし同時に、モノを言わない多数派でもあります。そして、それに対し、既得権をもつ人たちには、常に発言の場が用意されています。
最後にもう一度言いますと、改革には、抵抗がつきものです。社会からは、抑え込もうとする圧力が加わります。しかし思慮深く下した判断であるならば、やり遂げなくてはなりません。それが自分の責任だと思っていた時、JFKの残した言葉が甦りました。
リーダーシップとは何か。若きジョン・F・ケネディは、それをgrace under pressureだと表現しています。私もそうありたい。そう思っています。
出典:首相官邸HP(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0427speech.html)
2015年4月28日(現地時間)日米共同記者会見
■質疑応答(一部)
今回のガイドラインと我々の安全保障法制についてであります。
これについて、戦争に巻き込まれる、といったレッテル貼り的な議論が日本で行われている事は大変残念であります。こうしたレッテル貼り、今回が初めてではありません。かつて1960年に、安保条約を改定したときに、日本はアメリカの戦争に巻き込まれる、という批判があり、これは安保改定に対する批判の中心的な考えであったと言ってもいいと思います。しかし、あれから55年が経って、その批判は全くの間違いであったことが既にもう明らかになっている。その間違いは歴史が証明をしていると思います。
あのときの私たちの選択、安保条約を改定する、そしてもし日本が侵略を受けた際には日米で共同で対処する。同時に極東における安全を維持をするために日本の施設を活用して米軍が活動する。こうしたことによって日本の安全は守られ、日本の??(聴き取り不可)の繁栄があり、且つアジア太平洋地域の平和と安定が守られてきた。
そうした機能をさらに強化していくこと、それが今度の新しいガイドラインであり、そして切れ目の無い対応を可能にしていくことによって、より抑止力を高めていく。日米の同盟をより効率的、機能的にしていくことによって抑止力と対応力を高めていく事は、結果として日本の平和と安定、そして地域の平和と安定に資することは間違いない。私はこう確信をしています。
この法制整備において、国会において、国民の皆様にこのことを丁寧に説明していきたいと思います。
出典:首相官邸HP(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/20150428kaiken.html)より文字起こし
2015年4月28日(現地時間)米国連邦議会上下両院合同会議
■演説(一部)
日本は、どんな改革からも逃げません。ただ前だけを見て構造改革を進める。この道のほか、道なし。確信しています。
出典:首相官邸HP(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0429enzetsu.html)
それと、連休明けからの国会議論を見る上で無視できない発言も
2015年4月28日(現地時間)米国連邦議会上下両院合同会議
■演説(一部)
アジアの海について、私がいう3つの原則をここで強調させてください。
第一に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第二に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第三に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること。
太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。
そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私達には、その責任があります。
日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。
この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。
戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。
出典:首相官邸HP(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0429enzetsu.html)
(私の感想)
「確信」するのは勝手ですが、それは他からの批判を無視するのとは違うはず。
「思慮深く下した判断」に対してだって「思慮深い」批判はあるんです。
仮にその批判が少数であっても、そこに耳を傾け議論するのが民主主義でしょう。
共同会見では「(国会で)丁寧に説明していきたい」と言っています。「丁寧に議論」ではないのがポイントですね。
国会は唯一の立法機関なはずなのに、安倍さんにとってはただの承認機関のようです。
大体、集団的自衛権の閣議決定から新ガイドラインまで、一切国会の議論は経ていません。
これから国会での批判は全て「レッテル貼り」的な議論と言って無視するつもりなんでしょうか?
「夏までに成就」とか言っちゃってますしね。
そもそも会見で60年安保を引き合いに出してますが、根本的にこの論理はおかしいです。
安倍首相の言うように「レッテル貼り」的な批判だったとしても、問題はその中身です。
“戦争に巻き込まれる"というまでの論理が問題なんです。
安倍首相の論理だと、ある人が2つのお菓子に『激辛!』と"レッテル"を貼ったとき
右側は「色が真っ赤だから辛い」
左側は「原料が唐辛子だから辛い」
『右側のは辛くなかっただろ?だから左側が辛いなんていうのも間違いなのさ』
ということになっちゃいます。
しかも「左側は原料が唐辛子で、右側とは全然違うんだ」と言っても無視されちゃってる状態ですね。
新規作成:2015/05/04
最終更新:2015/05/04