第96条 憲法改正手続き
- この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
- 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
■本当に海外と比べて厳しい要件なのか?
96条改正について「日本の憲法改正要件は諸外国のなかでとりわけ厳しい」という主張があります。
根拠あるのかしらん?ということで調べてみました。
64ヶ国分の憲法改正手続きを比較すると「日本だけ厳しい」というのはまるっきりのウソと言わざるを得ません。
今、ネットで拾える情報で最も多くの国の情報を持っているのは
「硬性憲法としての改正手続きに関する基礎的資料
最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員会(平成15年4月3日の参考資料)」
だと思います。
上記文書名で検索すると衆議院のホームページで見つける事ができます。
これは平成15年(2003年)4月に衆議院憲法調査会事務局が作成したものです。
そしてこの資料の後ろについている
「憲法改正手続きの類型」
という国立国会図書館調査及び立法考査局 政治議会課憲法室の作った資料に62ヶ国分の憲法改正手続きがまとめられています。
ただこの資料、あまり見やすさを考慮されていないようで、はっきり言ってすごく見にくい。。
そこで、入手できる限りの憲法条文とこの資料を見比べながら、私なりに見やすく表にしてみました。
参考のために入手した憲法条文(日本語)は以下の資料からです。参考にした条文そのもの(20ヶ国分)は後半で紹介しています。
(表からは分かりにくい部分もありますが、実際の条文にもあたってみてください。)
・昭和30年代に国立国会図書館が作成した各国憲法集・各国憲法集(続)・各国憲法集(第三集)
これは古いので上記資料と見比べて内容がずれていないもののみ参考にしました。
実際には細かい条文が変わっているかもしれません。
・国立国会図書館のデジタル化資料にあった各国憲法集
これは2012年から新たに国立国会図書館が作成し始めているものです。
現時点では7ヶ国分ありますが、継続中らしいです。素晴らしい資料なので続けてほしいです。
・書籍「世界憲法集 第4版」
さて、元資料の62ヶ国に2ヶ国を追加し、さらに現在の日本国憲法も加えた表がこれです。
私が勝手に作った資料ですので、誤り等があっても元資料を作成した方々に一切責任はありません。
各国憲法改正手続きPDF版はこちらから[324KB](別画面で開きます)
細かい話は置いておいて、これをざっくり見ると、64ヶ国中、議決で通常の法律の成立要件より厳しくしているのは57ヶ国、そのうち国民投票も必要なのは33ヶ国です。
「日本だけ厳しい」っていう根拠は何なのでしょう?
■各国の憲法条文(改正要件部分)
前記3つの資料のいずれかが出典です。順不同です。
新規作成:2013/10/06
最終更新:2013/10/06
(旧ブログ初掲載:2013/05/12)
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