安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会
2013年11月13日
■冒頭あいさつ
委員の皆様におかれましては、御多忙の中、参集いただき感謝いたします。前回は我が国がとるべき具体的事例につき議論いただきましたが、国民の皆様の理解を深める上でも大変有益であったと思います。本日は、前回に引き続き、あり得べき憲法解釈の在り方について、特に集団的自衛権に関する論点を中心に議論を深めていただきたいと思います。
国民の生存と国家の存立を守るのは政府の責務です。このためにどのような手段をとるべきか、それは、第一義的には、外交・防衛上の政策判断です。我が国は立憲政治の国、国民主権の国であり、憲法前文には「平和的生存権」、第13条には「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が掲げられています。平和は国民の希求するところです。しかし、同時に、主権者である国民の生存、国家の存立を危機に陥れることは憲法の要請するところではありません。
集団的自衛権については、国連憲章上、加盟国は個別的及び集団的自衛権を固有の権利として有している旨が規定されており、国際法上、我が国が主権国家として集団的自衛権を有していることは言うまでもありません。我が国を取り巻く国際環境が厳しさを増し、テロやサイバー攻撃など、国境を越える新しい脅威が増大する中、国民の生命・身体・財産や国家の存立を脅かす事態は、今や世界中のあらゆる場所で生じ得ます。このような一国のみでは対応が困難な問題について、我が国が各国と協調して対応できるよう、法的な基盤を含めて万全な体制を築く必要があります。あらゆる可能性についてしっかりと守りを固めていくことは、抑止力となり、結果としてそういう事態を引き起こしにくくする効果もあると考えます。
我が国はもはや、一国で孤立した平和を享受することはできず、我が国独りの力では、国の安全を全うし得ません。友邦と共に守り合い、共に支え合い、共に国際秩序を守り合うことによってのみ、より確実に我が国の安全を確保できます。我が国が責任ある国家となった今日、地域や国際社会の平和と安全の維持・回復を他国任せにして、自分のことさえしておけばよいというような依存心や甘えは捨て去る必要があります。また、公の国際秩序を支える努力をしなければ、国際社会から尊敬されることはなく、ひいては、自らの安全を損なうかもしれません。このような認識の下に、私は、我が国が国際協調主義に基づき、世界の平和と安定に、これまで以上に積極的に貢献する国になるべきとの考えを「積極的平和主義」として掲げ、多くの国から支持を得ているところです。
安全保障環境の大きな変化の中で、国民の生存と国家の存立を確保し、その基盤となる国際社会の平和と安定を実現するため何が必要かという観点から、新しい時代にふさわしい憲法解釈の在り方につき、本日も、委員の方々の活発な御議論をいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
出典:首相官邸HP(http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201311/13anpo.html )
(私の感想)
10月16日の同じ懇談会での冒頭あいさつの感想でも書いたのですが、
中途半端に憲法を引用しないでほしいなぁ、と思う訳です。
憲法の精神は
「地域や国際社会の平和と安全の維持・回復を他国任せにして、自分のことさえしておけばよいというような依存心や甘え」
では無いと思います。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した
という憲法前文の精神を、歯を食いしばって貫く事で国際社会で名誉ある地位を占めようとするのが我々なはずです。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成する事を誓ふ。
んですけどね。
新規作成:2013/11/17
最終更新:2013/11/17