参議院予算委員会第10号
2013年04月23日
■憲法
(自由民主党 丸山 和也 氏との質疑中)
戦後の日本、自由や民主主義、基本的人権、平和主義、私たちが確立したすばらしい概念、哲学は、もちろん今定着はしているわけでございます。これは、戦後の歩み、評価すべき点だろうと、こう思うわけでございますが、同時に、七年間の占領時代に言わば占領軍の手によって、事実上占領軍の手によって憲法等、あるいは教育基本法もそうですが、占領時代につくり上げられた仕組みがあるわけでございまして、その中においてやはり真の独立を取り戻す上においては、私たち自身でしっかりと自分たちの基本的な枠組みをつくり直していく必要があるだろうという考えであります。
憲法の前文にこうあるわけでございます。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」。自分たちの国民の安全、命を他国の人たちの善意に委ねていいか、このこと自体を疑問に思わない方がおかしいというのが私の考え方でございます。
やはりこうした仕組みを基本的に変えていくことによって我々は真の独立の精神を取り戻すことにつながっていくと、こう信じております。
我が国は憲法を制定して以来、六十数年にわたって全く手を着けていないわけでございます。諸外国はもう何回も憲法を改正しております。同じ敗戦国でも、ドイツは五十回以上改正を行っているわけでございまして、なかなかこれができなかった。自由民主党も綱領に掲げながらチャレンジ自体をずっと見送ってきたのでございますが、なぜかと言えば、やはりこの改正条項が非常に厳しいこれは改正条項になっているわけでございまして、そこで、やはりこれは、政治は現実でありますから、憲法を改正するための三分の二の多数を形成する上において、九十六条の改正ということにあっては、多くの議員のこれは賛成を得ることができるという判断の中でまずは九十六条から、これは国民の手に憲法を取り戻すことにつながっていくわけでありまして、私は、自由民主党総裁としては是非この九十六条の改正にチャレンジをしていきたいと、このように思っております。
昨年の衆議院選挙の我が党の公約の中にも九十六条の改正が入っているわけでございまして、当然この七月の参議院選挙においても我々は堂々と九十六条の改正を掲げて戦うべきであると、私は、総裁としてはそう考えております。
(社民党 又市 征治 氏との質疑中)
※これは又市氏との質疑を続けてみた方がわかりやすいので、又市氏の質問も記載します
立憲主義とは、主権者たる国民がその意思に基づいて、憲法において国家権力の行使の在り方について定め、これによって国民の基本的人権を保障するという近代憲法の基本となる考え方でありまして、日本国憲法も同様の考え方に立って制定をされているということであります。
又市氏
『今おっしゃったことは、立憲主義そのものは政治権力の専制化であるとか恣意的支配を憲法によって防止、制限をして個人の権利や自由を保障しようとする思想原理でありますね。
戦後の日本では憲法に、九十八条で憲法の最高法規性、八十一条で違憲立法審査権及び四十一条で国会が国権の最高機関であるということを定められて立憲主義が確立したと、こう言われるわけですが、そうしますと、憲法を守るべき、つまり国民から縛られている政治権力の最高責任者である総理が率先して憲法を改正する、第九十六条改正に取り組むと表明されることは、これ、九十九条の国務大臣、国会議員、裁判官その他公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負うという規定に違反するし、許されない。
泥棒に縄をなわせるようなものだという酷評をされる、こういう批評が出ていますが、どうお答えになりますか。』
その批評は全く的外れだということは申し上げておきたいと思います。
自由民主党の憲法草案ができたのは昨年の四月でございました。我が党は野党でありました。そして、私はその後、谷垣総裁の後を継いで自由民主党の総裁になって、昨年の選挙に言わば総裁として臨んだわけでございます。そのときの約束の一つが九十六条を変えるということであります。
確かに、憲法というのは、言わば権力者の手を縛るという、為政者に対して制限を加えるという側面もあるわけでございますが、実際は、自由民主主義、基本的な人権が定着している今日、王制時代とは違うわけでありますから、一つの国の理想や形を示すものでもあるわけでございます。
私は自由民主党の総裁でもあるわけでありまして、選挙に臨む以上、総裁として、総理大臣としても現職ではありますが、総裁として臨む以上、どういうこれは方針で憲法に臨んでいくかということをむしろこれは国民にしっかりとお話をするという義務を私は負っているんだろうと、このように思います。
又市氏
『おかしい、ごまかしですよ。それは、あなた自身は、自民党の総裁として、総理大臣として九十六条改正に取り組むとおっしゃっているわけであって、それが九十九条との関係はどうかと、こう聞いているんですよ。これは逃げてもらっちゃ困りますよ。
そこで、現憲法が改正の発議要件を衆参両院の三分の二の特別多数としているというのは、国会の過半数を獲得した政権与党だけで安易に発議できることを避け、野党も賛同できるような合理的な内容に落ち着くまで様々やっぱり論議を重ねた上で国民に提案するということを予定しているためだと思いますが、多くの国々でもそういう手続が取られているということじゃありませんか。』
それは国によってそれぞれでありますが、例えば米国は国民投票という仕組みがございません。日本の場合は、衆参両院において三分の二の発議がなければ、それぞれの三分の二がなければ発議そのものができない、そしてその後、国民投票ということになるわけであります。
いずれにせよ、国民投票によって過半数を得なければ憲法改正はできないわけであります。ですから、例えば六〇%、七〇%の国民の方が改正したいと考えていたとしても、むしろ三分の一をちょっと超える国会議員が駄目だよと言ったらできない方が私はおかしいんだろうと、このように思います。
■原発
(公明党 荒木 清寛 氏との質疑中)
詳しくは経産大臣から答弁をさせますが、東電福島第一原発において事故、トラブルが相次いでいることは誠に遺憾でございます。地元を始め国民の皆様に多大な御心配をお掛けをしていることを重く受け止めております。
増え続ける汚染水問題の根本的な解決を図るため、原子力災害対策本部の下に汚染水処理対策を検討する委員会を設置をいたしまして、政府、原子力規制委員会、東電、産業界等関係者が一体となって、汚染水の海洋流出防止対策も含め、中長期的な汚染水処理の具体策を検討してまいります。
(みんなの党 米長 晴信 氏との質疑中)
今、茂木大臣から答弁をさせていただきましたが、安倍政権の方針として、前内閣が既に収束という発言をしておりますが、我々は、収束したという、そういう状況というふうにはとても言えないというふうに考えているわけでございます。
(生活の党 広野 ただし 氏との質疑中)
原子力発電所の安全性を確保する上で、テロに対する対策は極めて重要であると考えております。このため、原子力発電所では、使用済核燃料の保管場所も含め、テロリストの侵入を監視、阻止するなど様々な防護措置が従来から講じられているところであります。
さらに、東電福島第一原発の事故から原子炉以外に防護上重要な施設が存在することが分かったことを踏まえまして、政府は事業者に対して、テロリストによる破壊や侵入を防止する措置の強化や、国際原子力機関の最新の勧告を踏まえ、警備の強化を義務付けております。テロ対策の強化が着実に今進んでいるというふうに認識をしております。
加えまして、原子力発電所の警戒警備体制の強化に必要な警察官の増員、そしてまた警察及び自衛隊によるテロ対策共同訓練の実施など関係機関が連携してテロ対策に取り組んでおります。
先ほど茂木大臣から答弁をいたしましたように、既にたくさんの使用済核燃料が我が国に存在をしているわけでございますし、またこの使用済核燃料の最終処分というのはもう世界が取り組まなければいけない課題の一つでもございます。言ってみれば、世界共通の悩みと言ってもいいんだろうと思いますが、我が国はその中で世界で高い核燃料サイクル技術を有しているわけでありますから、世界各国と連携を図りながら引き続き取り組んでいく考えであります。特に、高レベル放射性廃棄物の処分については、国が前面に立って取組を強化していく考えでございます。
(日本共産党 井上 哲士 氏との質疑中)
ただいま茂木大臣が答弁したとおりでありまして、炉については安定的な状況になっている。しかし、一方、廃炉に向けて様々な課題があるわけでありますから、全力で取り組んでいく考えでございます。
そもそも、収束というのは前政権で、野田政権で出した宣言でございまして、安倍政権においては収束という言葉は使ってそもそもおりません。
そして、ただいま茂木大臣が答弁したように、事故処理は続いていくわけでありますし、実際また福島第一の事故によって多くの方々が避難生活を余儀なくされている状況が続く中において、我々は収束ということを宣言する気持ちは全くないということでございます。
汚染水については、増え続けるこの汚染水については、根本的な解決を図っていかなければならないわけであります。原子力災害対策本部の下に汚染水処理対策を検討する委員会を設置をして、政府、原子力規制委員会、東京電力そして産業界等の関係者が一体となって中長期的な汚染水処理の具体策を検討していく考えでございます。
様々な課題を抱えておりますが、二年前の東日本の大震災による過酷な事故を経験した中において、原子力規制委員会において、その中において世界的な知見も併せながら、また経験も生かして、最高水準の規則の中においてしっかりとこれから検査監督をしていただきたいと、このように思います。
(みどりの風 谷岡 郁子 氏との質疑中)
原子力政策は、これは我が国のエネルギー政策でもあるわけでございまして、ああした過酷事故を経験した上において厳しい、世界でも厳しい安全基準を定め、その上において三年間、再生可能エネルギー等新しいエネルギーに対する国家資源の投入を行う中において、そしてエネルギーのベストミックスを構築をしていきたいと、こう考えております。
■歴史認識
(自由民主党 丸山 和也 氏との質疑中)
※これは丸山氏の質問から始めた方がわかりやすので、丸山氏の質問から記載します
丸山氏
『次に、いわゆる歴史認識問題ということについて質問させていただきます。
配付させていただいています資料、いわゆる村山談話ですね、戦後五十周年の、出された村山談話、これについてお聞きしたいんですけれども、これについての評価がいろいろ分かれております。昨日も白眞勲君、先生から質疑がございましたけれども、私はこれを読みまして非常に問題があると思っている。
どの部分が特に問題があるかということは、最後から二段目の「わが国は、遠くない過去の一時期、」、ここの部分ですね。この中でどこが問題かといったら、三点問題がございます。
まず第一、「遠くない過去の一時期、」、これは歴史の評価としていつを指しているんですか、いつからいつまでですか、全く明らかになっていない。「国策を誤り、」、どういう国策を誤ったのか、どういう国策を取るべきだったのか、全く触れていない。「植民地支配と侵略によって、」、この植民地支配と侵略という、植民地いわゆる政策。植民地というのはいろんな定義がございます。西欧列強がやった、イギリスのインドの支配のようなものもありますれば、日本の例えば植民地と言われている日韓併合、国と国との合意によってなされた、こういうのもございます。
ですから、ここら辺も全く中身を吟味しないまま、とにかく曖昧なまま済みませんというような、事なかれ主義でうまく仲よくやりましょうよみたいな文章になっているんですね。こういう談話であっては歴史的価値は全くないと私は思うんですね。
これについて総理はどのように思われますか。』
ただいま丸山委員が質問をされた点は、まさにこれは曖昧な点と言ってもいいと思います。特に侵略という定義については、これは学界的にも国際的にも定まっていないと言ってもいいんだろうと思うわけでございますし、それは国と国との関係において、どちら側から見るかということにおいて違うわけでございます。
そういう観点からも、この談話においてはそういう問題が指摘をされているというのは事実ではないかと、このように思います。
まさにこの歴史については、認識という側面と、一方、ファクトの積み上げの側面もあるわけでございまして、今、丸山委員が挙げられた本でございますが、他方、その本にも触発されて、ソウル大学の一員の方が、いわゆる日帝支配時代になぜ人口が増えたかという観点から分析した資料もあるわけでございます。
そのように、やはり冷静に客観的な事実について議論をしていくということが極めて重要だろうと、このように思います。日本はどちらかといえば、言わば政治の場で論じますとそれは直ちに外交問題としてこれは波及してくるわけでございまして、外交問題ということになることによって、我々はむしろ、それは違うということについても一切、実は違うんだということを分かっていながら口をつぐんできた、言わばタブー視してきたのも私は事実ではないだろうかと思うわけであります。そういう意味においては、政治の場で議論をせずに、言わばアカデミックな議論を学者同士がちゃんとそれぞれの学識を懸けて議論をするべきだろうと、このように私は考えております。
そこで、前安倍政権時代に共同研究をスタートしたということでございまして、ただいま委員が御指摘いただいたように、日韓だけではなくてもう少し範囲を広げてもいいのではないかということは、なるほどそうだなと、今拝聴していてそのように感じたような次第でございます。
出典:参議院HPの議事録
(私の感想)
そして、一時ニュースにもなっていた「侵略」の定義問題ですね。
このような文脈だったわけですが、どちら側から見るか?というのは自明であって、やられた側から見るべきでしょう。
相手がどう思っていたのか?それが一番大事なのではないでしょうか?
それと、原発事故について原因も分からずにどうやって安全基準作るんだか?
新規作成:2013/10/14
最終更新:2013/10/14