安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会
2013年10月16日
■冒頭あいさつ
今回は、前回に引き続き、我が国がとるべき具体的行動の事例について議論を深めていただくとともに、あり得べき憲法解釈の在り方について、忌憚のない議論をいただきたいと思います。私からは総理の職務としての観点から一般論として何点か申し上げます。
第一に、政府は、日本国民の生存と日本国の存立を守る責任を有しているということです。
第二に、日本の安全保障の問題は広く20世紀全体の国際法の流れの中で、特に不戦条約以来、国際連合の集団安全保障体制へと続く戦争放棄の思潮の中で捉える必要があるということです。すなわち、憲法前文にあるとおり、日本は一国平和主義ではなく、この体制の下で自国及び国際の平和と安全を維持することを安全保障の課題としてきたということです。
第三に、我が国を取り巻く厳しい国際環境を鑑みれば、日本独りの力では、日本の安全を全うし得ません。それ故に私たちは、国際協調主義を掲げると共に、日米同盟を選択しました。
第四に、同盟は互いに磨き続ける努力をしなければ、その活力を維持し得ないということです。私たちは、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、共に日本の安全とアジア太平洋地域をはじめ国際社会の平和と安全を支える覚悟が必要です。
第五に、安全保障の法的基盤の再構築に関する検討は、究極的には国民の生存と国家の存立を守り、その基盤となる国際社会の平和と安定を実現するためのものであるということです。自国のことのみを考えた安全保障政策ではむしろ尊敬を失い、友人を失います。独りでは自国の安全を全うすることはできません。必要がある時には共に守り合い、共に正義を支え合い、共に秩序を守り合うことによって、より確実に国民の生存と国家の存立を守り、国益を守ることができます。
以上、私の考えを何点か申し上げましたが、本日も、委員の皆様の活発な御議論のほどをよろしくお願い申し上げます。
出典:首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201310/16anzenhoshou.html)
(私の感想)
「集団的自衛権行使」というのが言葉の端々に見えています。
2番目では何と憲法前文を引いているわけですが、どの部分からここにあるような事が言えるのでしょうか?
憲法前文は言います。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した
安倍首相の言う5番目「必要がある時には共に守り合い、共に正義を支え合い、共に秩序を守り合うことによって、より確実に国民の生存と国家の存立を守り、国益を守る」という言い方は
明らかに仮想的な敵がいますよねぇ。
憲法前文の「人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚」している人の言う言葉ではないように思います。
新規作成:2013/10/26
最終更新:2013/10/26