参議院予算委員会第18号
2013年05月15日
■憲法
(民主党 櫻井 充 氏との質疑中)
※櫻井氏の質問も記載します
櫻井氏
『最後に、憲法のことについて、総理は九十六条を緩和して憲法をどのように変えたいと、どの条項を変えたいとお思いなんでしょうか。』
よく、中身について議論せよと、このように言われるわけでございますが、自由民主党は昨年の四月の二十八日に党としての改正案をお示しをしているわけでございます。その中において、どれから改正すべきかということは今後の議論の中で考えていきたいと、こう思っているところでございます。
櫻井氏
『総理は、なぜ九十六条の要件、緩和しなきゃいけないと思っていらっしゃるんですか。』
それはまさに憲法を国民の手に取り戻すためでございます。
櫻井氏
『権力者側というのは絶えず二分の一を持っておりますから、二分の一というのは要件にならないんじゃないですか。』
今、我々、参議院においては二分の一持っておりませんから、今の段階では発議できないということではないかと思います。
櫻井氏
『それは三分の二と二分の一と全然関係なくて、ねじれの状態ではそうなんです。
それからもう一つは、三分の二でも、例えば地方自治のところの九十何条とか衆参の在り方の五十九条とか、私は三分の二の要件でも十分発議できると思いますけれどもね。総理、いかがですか。』
いずれにしても、憲法についてはこれから更に国民的な議論を深めていかなければならないと、このように考えております。
(みんなの党 小野 次郎 氏との質疑中)
これは違うようでもありますが、そうでもないわけでありまして、これはまさに不磨の大典、指一本触れていいものではない、これはかつては明治憲法は欽定憲法と言われていたわけでございます。しかし、今の昭和憲法は、これは先ほど日本が作ったという議論もございましたが、しかし、事実として、昭和二十一年の二月の四日にホイットニー民政局長がケーディスに命じて二十五人の委員で約八日間で作ったものでございまして、原文は英語でできておりますから、日本側がそれを、英語を日本語に訳したものがまさにこの現在の日本国憲法の原型になっているということでございます。
これを踏まえた上において、時代にそぐわなかったものもございますし、まさに私たち自身の手で新しい憲法を変えていくという精神こそ、これは新しい時代を切り開いていく、未来につながっていくのではないかということを私は申し上げているところでございます。
(生活の党 森 ゆうこ 氏との質疑中)
※森氏の質問も記載します
森氏
『憲法九十六条の改正について伺いたいと思いますが、私は、憲法改正あるべしと、改憲か護憲かといったときには、必要な改憲はするべき立場、するべきであるというふうに思っておりますけれども、この九十六条の改正については反対であります。
まず、総理に伺いたいんですが、内閣には憲法改正原案の提出権はあるとお考えでしょうか。』
これについてはいろんな議論があるわけでございますが、基本的に、今我が党としては、これは、一党だけにおいてはいずれにせよこれは三分の二を構成することができませんし、まさに院においてこれは提出をしたいと、基本的にはそういう議論になっております。
森氏
『九十六条に「国会が、これを発議し、」と特に定めていることから、内閣に提出権はないというのが通説です、もちろん諸説ありますけれども。
改正手続に両議院総員の三分の二の特別多数決としているその理由は何であると考えていらっしゃるでしょうか。今の改正要件。』
私も今ちょっと、質問の通告もございませんし、意味がよく分からないわけでございますが、つまり発議要件を三分の二にし、そしてその後、国民投票があるわけでございます。
その中において、言わばそのときの、これは元々、先ほど申し上げましたように、GHQの二十五人の委員が原案を作ったものでございますが、その中において改正条項が定められたものだと、このように思っております。
森氏
『やはり、この改正手続が特別多数決ということで三分の二というふうに決められているのは、これはやはり憲法の基本原理をしっかり守ると。権力は腐敗し堕落する、だから憲法を改正するときにはもっと真摯な、抑制的な議論が必要であるということだと私は考えております。
じゃ、総理は、憲法前文冒頭の「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」というふうにありますけれども、その意味についてはどのようにお考えでしょうか。』
まさに日本は直接民主主義ではなくて間接民主主義によって、議院内閣制において政治を行っているということではないかと思います。
森氏
『代議制民主主義ということで、そうしますと、国民の過半数が憲法を改正したいとの意思を国会両議院の三分の一超の議員が妨害できる制度は常識的ではないと繰り返される総理のこの発言は、この代議制民主主義、これを、何というか、否定するものであるというふうに私は受け止めて、非常に違和感を持っているんですけれども、そうではないんですか。』
まさに今委員がおっしゃったように、三分の一を少し超える議員が反対をすれば国民が自分たちの意思を表明することができないのはおかしいと、こう申し上げているところでございます。
■原発
(新党改革 荒井 広幸 氏との質疑中)
被災者の皆様を始めとする国民の皆様に多大な御苦労をお掛けをしておりますこと、いまだに多くの方々が自分の家に戻れない、元の生活に戻れない、そういう状況になっておりますこと、心からおわびを申し上げる次第でございます。
原発の安全性について国会事故調や政府事故調からも指摘されているとおり、複合災害という視点が欠如していたことや、規制組織の独立性が十分でなく、いわゆる安全神話に陥ってしまった点、政府として深く反省しなければならないと考えております。
こうした反省を踏まえ昨年九月に原子力規制委員会が新たに設置をされ、原子力安全規制の抜本的な見直しが今進められているところであります。その中において、私たちは、原子力規制委員会において、各種の事故調査でこれまで明らかにされた情報を踏まえ、海外の規制基準も確認しながら、世界最高レベルの安全水準となる新規制基準の策定を行っていかなければならないと、このように考えているところでございます。
また、安全の追求には終わりはないわけでございまして、継続的な安全向上が重要であります。それが原子力規制委員会のまさに規制姿勢でございまして、私たちはしっかりとそうした検討、見直しを行っていく考えでございます。
(公明党 草川 昭三 氏との質疑中)
原発停止に伴い、火力燃料費が平成二十五年度の推計で震災前に比べて年間三・八兆円増加すると試算され、複数の電力会社から料金値上げが申請されるなど、電力コストの上昇をもたらしております。経済再生は私の内閣の最重要課題でありまして、その際、低廉な電力供給の確保は極めて重要であり、電力コストの上昇は企業立地や設備投資に大きな支障となります。政府としては、電力会社の料金審査に際し、将来の燃料調達の効率化努力を先取りするなど厳正な査定を行い、値上げ幅を圧縮してきたところであります。
また、燃料調達コストの引下げや電気料金の抑制に向けて、まず一つは、シェールガスにより天然ガス価格が低下している北米からのLNGの輸入の実現や、もう一つとして、競争による効率化と安定供給を両立する電力システム改革などに最大限取り組んでいく考えでございます。
低廉で安定的なエネルギーの供給、これは日本が成長していく上においても不可欠でございます。
一方、一昨年の過酷事故を経験した中において、まさに安全基準、世界一高い安全基準をしっかりと定めていくという中において、今規制委員会においてその安全基準を定めているところでございます。そして、その中におきまして、この規制委員会において専門家としての知見を結集して、安全と判断されたならば、当然これは原子力規制委員会の判断を尊重し再稼働を進めていきたいと、このように考えております。
まず、もちろんこれは原子力規制委員会において、専門家の知見において高い安全基準に照らして安全だということになれば、それを尊重し再稼働を進めていきたいと、このように考えております。
今後、原子力規制委員会によって新規制基準への適合性が確認された段階で、立地自治体等関係者の理解と協力を得るため最大限取り組むなど、新規制基準への適合性が確認された原発の再稼働へ向けて政府一丸となって対応し、できる限り早く実現していきたいと考えております。
(日本共産党 田村 智子 氏との質疑中)
福一において、いわゆる偽装請負が行われていたのは遺憾であります。こうした偽装請負など法に違反する働き方が行われないよう、その是正を図る必要があると思います。
このため、福島労働局等において、事業主に対する集団指導等を実施をし、派遣法の遵守、そして労働条件の書面による明示、線量管理の徹底等を求めるとともに、様々な機会を通じて労働関係法令の周知を徹底しているところであります。また、法令違反が行われた、行われる事実を把握した場合には、迅速に事実関係を調査した上で、違反が認められた場合には是正指導を行うなどにより、違法な働き方の根絶に向けて厳正に対処してまいります。
なお、多重の請負をやめさせるべきだという御意見でございますが、多重の請負自体は法に違反するものではなく、いわゆる偽装請負などの法に違反する働き方を正していくことが必要であると考えております。
(みどりの風 谷岡 郁子 氏との質疑中)
原発の安全性について、国会事故調において、複合災害という視点が欠如をしていたことは先ほど大臣からも答弁させていただきましたが、事業者のとりこと指摘されたように、規制組織の独立性が十分ではなく、いわゆる安全神話に陥ってしまった点、政府として深く反省しなければならないと考えております。
こうした反省を踏まえて、昨年九月に原子力規制委員会が新たに設置をされました。原子力安全規制の抜本的な見直しを行っているところでございますが、原子力規制委員会において、各種の事故調査でこれまでに明らかにされた情報を踏まえて、海外の規制基準も確認しながら、世界最高レベルの安全水準となる新規制基準の策定を行っておりまして、本年七月に施行する予定であります。
また、安全の追求には終わりがないという考え方の下に、継続的な安全向上が重要であると思います。それが原子力規制委員会の姿勢であり、七月の施行の後も継続的に基準の見直しの検討を行っていく考えでございます。
まさに我々も、これはただ機械の問題ではなくて、レイアウト、またソフトの問題だと、こう思っているわけでございまして、原子力規制委員会において各種の事故調査でこれまでに明らかにされた情報を踏まえて、海外の規制基準も確認しながら世界最高レベルの安全水準となる新規制基準の策定を行っており、本年七月に施行する予定であります。この基準には、単なる機械だけではなくて、レイアウトなど広い事項を対象としているところでございます。
(新党改革 荒井 広幸 氏との質疑中)
福一の事故の経験と教訓を世界に共有することにより世界の原子力安全の向上に貢献していくことは、今委員の御指摘のように、我が国の責務であると考えております。
我が国としては、まずは原発の廃炉や土壌等の除染、長期避難者の生活支援、被災地の復興への取組などに全力で取り組みたいと思います。その上で、これらを通じて得られる技術を、そして知見を世界と共有をして、各国の原子力施設における万が一への備えの充実に役立てていきたいと考えております。
■歴史認識
(民主党 小川 敏夫 氏との質疑中)
※小川氏の質問も記載します
この過去の問題でございますが、日本と中国というのはお互いに言わば隣国でありますから、長い歴史を共にしているわけでございます。その間、実際にこれは様々な出来事があったわけでございますが、さきの大戦、また過去において中国の人々に対して大きな被害を与えたこと、大きな苦しみを与えたことに対して我々は痛惜の念を持っているわけでございまして、そうしたものの反省の上に立って今日の日本のこの現状があるわけでございまして、まさに自由で民主的な、そして法の支配を尊ぶ、基本的な人権を守っていくという、そういう国をつくってきたと、こういうことであります。
小川氏
『総理、総理は外交問題に発展するからといって答弁を逃げていらっしゃるけれども、そうして逃げていることが外交問題に発展するという御認識は持ちませんか。 すなわち、日本政府はこれまで明らかにはっきりと侵略ということを認めて、その上で謝罪しておったわけであります。
総理は先般の国会で、侵略という言葉にもいろんな定義があり、いろんな意味があるというふうにおっしゃられました。では、その言葉を踏まえて質問しますと、では、侵略という言葉の定義のとらえ方によっては侵略したとも言えるかもしれないけれども、侵略という言葉の定義のとらえ方によってはあれは侵略ではなかったと、こういうふうに総理は考えていらっしゃるわけですか。』
つまり、それは、今委員が議論しようとされていることこそ歴史認識の問題であって、そこに言わば踏み込んでいくべきではないというのが私の見識であります。つまり、ここで議論することによって外交問題あるいは政治問題に発展をしていくわけであります。つまり、歴史家が冷静な目を持って、そしてそれは歴史の中で、まさに長い歴史とそして試練にさらされる中において確定をしていくものでもあるということだろうと思いますが、つまりそれは歴史家に任せたいと、こういうことでございます。
(民主党 川上 義博 氏との質疑中)
※川上氏の質問も記載します
川上氏
『先ほどから侵略の話が出ていましたけれども、総理、アメリカが日本に侵略しましたか。侵略だと思いますか、思いませんか。どうですか。』
突然の御質問でございますが、基本的に、言わば、先ほども申し上げましたように、歴史認識についてはこれは歴史家に任せるものであるという考えでございます。
川上氏
『歴史家に任せるって、過去、ドイツの大統領にしたって、いろんな各国の首脳が歴史のことは直視しているんで、日中共同声明にだって歴史を直視しようという文章があるんじゃありませんか。歴史家に任せるというのは極めておかしいですよ。
それは、全ての歴史は、じゃ歴史家に任せるんですか。総理、どうなんですか。全ての首脳はある程度の歴史観というのを持っているじゃありませんか。歴史観がないんですか、あなたには。全て歴史家に任せていいんですか、それで。』
累次ここでお話をさせていただいておりますように、まさに歴史について語ることそのものが外交問題あるいは政治問題に発展していく中において、基本的には我々は常に自らの歴史に対して謙虚でなければならないと、このように考えているわけでございまして、今、私がここで神のごとく裁断を下すべきものではないだろうと、このように思っているところでございます。
川上氏
『国際法上、定義が定まっていないと、侵略の定義が定まっていないということを総理はおっしゃったんですけれども、じゃ、政府として、この侵略の定義、政府として、何ですか。政府として考える侵略の定義というのはあるんですか。ありませんですか、ないですか、ありますか。』
岸田外務大臣
『侵略の定義につきましては、御承知のとおり、学術的に様々な議論が行われております。
そして、我が国として、この侵略の定義、明らかに、明確にしたことはないと思いますが、しかし、いずれにしましても、我が国として侵略ということを否定したということは一度もない、これが現状であります。』
川上氏
『だから、要するに、官房長官が記者会見で、侵略の歴史を否定したことは一度もないと、全体を引き継ぐということだと。
じゃ、この侵略は否定したことはないというのは、侵略は認めているということなんですか。侵略は認めていないけれども否定してはいないと。どっちなんですか。』
今、川上委員の御質問は、どういう意味なんでしょうか。侵略というか、過去の日本の侵略ということで御質問でしょうか。
川上氏
『もちろんそうです。だから、もちろん、要するに、安倍内閣として侵略の歴史を否定したことは一度もないとおっしゃったんです、長官が。だから、否定したことは一度もないということは、侵略の歴史を認めているということですかということなんです。』
これは、累次申し上げているわけでございますが、侵略についても、またあるいは植民地支配についても、否定したことは一度もないわけでございます。そして同時に、今申し上げましたように、歴史についてはこれはまさに歴史家に任せるものであろうと、このように思うわけでございまして、我々は常に歴史に対して謙虚でなければならないと考えているところでございます。そして、歴史において踏み込んでいくことによって外交問題そしてあるいは政治問題にすべきでないと、こう考えている次第でございます。
当然、我々安倍政権として、過去において多くの国々、そして特に近隣諸国に対して多大な被害と苦しみを与えた、この痛切な反省の念は変わらないわけでございますし、その中において、その深刻な反省の上に立って戦後の日本の歩みがあるわけでございまして、自由で民主的な、そして法の支配を尊ぶ日本という国をつくってきたわけでございまして、国際社会においても平和に対しても貢献してきた国であろうと、このように思います。
(民主党 大河原 雅子 氏との質疑中)
まさに、戦争とは何かという重い問いかけでございますが、まさにこれは、戦争とは国家と国家が戦火を交えることであり、そしてそれは、近代においてはその結果、多くの無辜の民、両国の国民を始め多くの無辜の民が戦争に巻き込まれ死傷していく、そしてその結果、その戦後も含めて塗炭の苦しみの中に落とされてしまうということであって、まさに近代、現代の人類にとって、この戦争を廃絶をしていくことこそ私たちの努力の言わば目的であろうと。そのために国連をつくり、いかに戦争を防止するかという努力をしてきているところであります。
今委員からユネスコ憲章についてのお話もございました。
戦争についての認識は先ほど申し上げたとおりでございますし、委員のお父様のことをお話をされましたが、私の父方の祖父は安倍寛といいまして、翼賛選挙に言わば反対をして、翼賛会ではなく非翼賛会として当選をした数少ない議員でもございましたし、反東条政権を貫いた議員でありました。そして、私の父は滋賀航空隊において特攻隊の予備軍であったわけでございます。そういう話を父からも私は受け継いでいるわけでございますが。
そこで、村山談話については、これは過去の政権の姿勢、これは村山談話に対する姿勢として小泉政権があったわけでございますし、今、小泉談話が出されているわけでございますが、これはもう官房長官からお答えをさせていただいているように、言わば政権としては全体としてこれは受け継いでいくということでございます。そして、官房長官談話につきましては、これは官房長官からお答えをするのが適切であるというのが政権としての考え方、立場でございます。
これは、累次お答えをさせていただいておりますように、村山談話につきましては、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた、その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えであります。いわゆる村山談話は戦後五十年を機に出されたものであり、また、戦後六十年に当たっては当時の小泉内閣が談話を出しているわけでございまして、当然、累次に出された談話についてはその時々の内閣が出された談話でございまして、これまでの歴代の内閣を安倍内閣としても引き継ぐ立場でございます。
そして、その上において、しかるべき時期に二十一世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したいと考えているわけでございますが、そのタイミングと中身につきましては今後十分に考えていく立場でございます。
そして、河野談話につきましては、いわゆる慰安婦問題につきましては筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことを思い非常に心が痛むわけでございまして、この点についての思いは私も歴代の総理と変わりはないわけでございまして、いずれにせよ、私としてはこの問題を政治問題、外交問題化させるべきではないと考えております。このいわゆる河野談話は、当時の官房長官、河野官房長官によって表明されたものであり、この点については総理である私から申し上げるのではなくて官房長官からお話をさせていただきたいと、このように思うところでございます。
(日本共産党 井上 哲士 氏との質疑中)
※井上氏の質問も記載します
私の立場でありますが、日本は過去多くの国々、特にアジアの国々に対して多大の損害を与えたことについて反省をしているわけでありまして、痛惜の念を持っているわけであります。そうした安倍内閣は歴代の内閣の立場を引き継いでいるわけでありまして、引き継いでいるということについては、これまでの歴代の立場の全体を引き継いでいるわけでございまして、これについては今までも申し上げてきたとおりでございます。
高市政務調査会長の発言について、私は詳細については掌握をしていないわけでございますが、今、内閣としての立場は今述べたとおりでございます。
井上氏
『じゃ、確認しますが、村山談話全体を引き継いでいるという菅官房長官の発言どおり、植民地支配と侵略という言葉も含めて受け継いでいると、こういうことでよろしいですね。』
繰り返しになりますが、私は今まで侵略とかあるいは植民地支配について否定したことはないわけでございます。
一方、歴史認識については、これは歴史家が決めるものであって、それを政治問題、外交問題化するべきではないと、このように考えているところでございまして、今ここで私がそういう認識について神のごとく判断をするべきものではないと、我々は謙虚に考えなければならないという立場であるということも申し添えておきたいと思います。
井上氏
『別に総理に神になれなんて私は言っておらないわけで、村山談話そして小泉総理のときも表明されたこの言葉を曖昧にする、むしろ後退をさせるということがむしろ今政治問題になっているわけです。そして、この植民地支配と侵略への反省ということと、閣僚による靖国参拝というものは本来相入れません。
総理は、国のために命をささげた人に敬意をささげるんだと、こういうふうに言われますが、靖国神社というのは普通の戦没者の慰霊施設とは違います。(資料提示)靖国神社には遊就館という軍事博物館が併設をされておりますが、今、特別展、大東亜戦争七十年展というのをやっております。その趣旨を見ますと、アジア諸国の解放と共存共栄の新秩序を確立すると、こういう先人たちの御事蹟、つまり成し遂げたことを参拝していただくと、こういうふうに書いているんですね。つまり、あの戦争はアジア解放の戦争だったと、こういうふうに美化するということを存在意義とする特殊な施設なんですよ。こういう神社を閣僚が訪問をするということは、自らを侵略戦争肯定という立場に身を置くということになるんじゃありませんか。いかがですか。』
ここには、この機会に是非御拝観いただきたく存じますと、こう書いてありまして、これは参拝してくださいということではなくて、これを是非見てくださいということなんだろうと思いますが、いずれにせよ、これは靖国神社の場所にある遊就館の展示でございまして、私はこの展示は拝見はしていないわけでございますが、まさにこうしたことについてコメントをすべきではないだろうと、こういうことでございまして、歴史については歴史家に任せるべきであって、歴史とは、まさに長い歴史の中において様々な年輪とそして試練を経ていく上において、歴史家の中において明らかになっていくものであろうと、このように思うところでございます。
井上氏
『この特別展だけじゃないんですよ。遊就館というのは明らかに特定の歴史観に立っているわけですね。この図録の中でも靖国神社の宮司が、自存自衛のため、アジア解放のための正しい戦争だったと、そういう歴史観を述べているわけですね。こういう神社を閣僚が参拝をするということは、事実上、この主張に政府としてお墨付きを与えることになるんですよ。そのことをよく認識をしていただきたいと思います。
そして、この侵略戦争の中で起きたのが従軍慰安婦の問題であります。
日本維新の会の橋下代表が、戦場での軍人の休息のために慰安婦制度というものが必要なのは誰だって分かると、人間に、特に男性に性的要求を解消する策が必要だと、こういうふうに述べました。従軍慰安婦制度を公然と正当化をされたわけであります。女性を男性の性のはけ口、道具だと、これが当然だと。そして、戦争を進めるための道具として当然だと。これは二重の意味に異常でありますし、今なお大きな苦しみを抱えて日本の政府の謝罪を求めている、この日本軍による性的被害者の尊厳を更に傷つけるものです。そして、女性全体の人権を踏みにじって、人間の尊厳をおとしめる暴言だと私は思います。許せない。
そして、公的立場にある人としてのまさに資格が厳しく問われますが、総理はこの見解についてはどういうお考えでしょうか。』
安倍内閣としては、慰安婦に対しては、もう既に累次お話をさせていただいておりますように、慰安婦の方々の苦しみに対して心から同情をするものでありますし、胸が痛むわけでございます。二十世紀は、戦争、あるいは女性の人権が著しく侵害された時代であり、日本もその中にあったわけでございますが、二十一世紀はそういう時代にしないという決意の下に我々は今日の歩みがあるわけでございまして、これは安倍政権の方針でございます。
橋下市長の発言につきましては、これはまさに他党の代表の発言でございまして、今御紹介をいただきましたが、全体について、私は詳細について存じ上げる立場ではございません。論評する立場にはないと、このように思っております。
井上氏
『各党の党内問題じゃないんです。重要な政治問題なんですね。
今のお話では、従軍慰安婦制度が必要だったということについては見解が違うのか同じなのか、全く分かりませんでした。
昨日、この橋下発言に対して各大臣が会見で述べております。下村文部科学大臣は、歴史認識における日本の政治家の発言が世界で誤解されている中で、橋下氏の発言はタイミングが非常に悪く、あえて発言することにプラスの意味があるのかということでありました。そして、谷垣法務大臣は、従軍慰安婦は橋下氏の言うように当時は必要性を感じていたからこそあったんであろうと思う、しかし今の時点で必要性を強調する必要があるのかは大変疑問だと、こういう発言ですよ。
これは、橋下氏の発言は、タイミングは悪いけれども中身は問題はないということになるじゃないですか。これは安倍内閣の立場なんじゃないですか。』
先ほどの質疑の中におきましても、私や安倍内閣とは立場が違うということは申し上げているとおりでございます。
井上氏
『何が違うんですか。明確に言ってくださいよ。
じゃ、当時、従軍慰安婦が必要だったということは立場が違うのかということを明確に述べていただく必要があるんですね。(発言する者あり)言っていないですよ、全く。
いいですか。何か他党の代表のコメントだからといって人ごとのように言いますが、世界はそう見ておりません。韓国のKBSは、日本政界の妄言はここまでひどいのかという水準だと言いました。アメリカのワシントン・ポスト、日本の戦争を美化する一連の日本人政治家の発言に続くものと書きました。今朝の毎日新聞、「強制連行認めず 安倍首相の認識踏襲」と、こういう見出しの記事を書きました。つまり、この橋下氏の発言というのは総理の言動と連動、一体のものだと世界は見ているんですよ。
しかし、慰安婦問題というのは、これは、軍がつくった慰安所で女性を拘束して軍人の性行為の相手を強いたというものであります。国連人権委員会なども、このこと自体を問題にして、女性を人間として扱わず、人権を著しく侵害した犯罪行為として、日本政府に加害者の追訴、謝罪と補償などを求める勧告を出されているわけですよ。
こういう従軍慰安婦制度が当時必要だったという発言は間違いだと、そういう立場ならはっきり述べてください。』
ですから、既に何回も述べておりますように、私も、また安倍政権の立場も、この橋下党首、橋下代表ですか、の言わば発言している内容、私は詳細全て把握をしているわけではございませんが、今委員が指摘されている点とは立場は異なるということでございまして、これが政権としての立場でございます。
井上氏
『先ほど言いましたように、各大臣が言っているのは、タイミングが悪いとか今の時期強調する必要があるかということであって、従軍慰安婦が必要だったということに対しては誰も述べていないし、今も総理も述べていないんですよ。当時従軍慰安婦制度というものが必要だったということは間違いだと、なぜ言えないんですか。』
もう既にこれは述べているとおりでございまして、そもそもこれは他党の党代表の発言でございまして、我々とはそもそも立場が違うわけでございまして、これは再三申し上げているとおりでございまして、これは是非委員は橋下代表とそういう議論をしていただきたいと、このように思うわけでございまして、基本的に、申し上げておりますように、我々は立場が違うということでございますし、何回も申し上げておりますように、慰安婦の方々のそのときのつらさ、苦しさを思うと胸が痛むわけでありますし、痛惜の念も抱いているわけであります。そうした我々の立場については繰り返し述べているとおりでございまして、繰り返しになりますが、立場は違うということは申し上げておきたいと思います。
井上氏
『従軍慰安婦が必要だったということを否定する発言は結局、総理からは一度もありませんでした。』
(社民党 山内 徳信 氏との質疑中)
累次申し上げておりますとおり、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたわけでございます。その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えであります。
いわゆる村山談話は戦後五十年を機に出されたものであり、また、戦後六十年に当たっては、当時の小泉内閣が談話を出しているわけでございます。その上において、しかるべき時期に二十一世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したいと考えており、そのタイミングと中身につきましては今後十分に考えていきたいと思っております。
韓国や中国を始めとする近隣の国々は日本にとって重要なパートナーでもあり、これらの国々との関係強化に引き続き努力をしていくとともに、地域の平和と繁栄に積極的に貢献をしていく考えでございます。
(社民党 福島 みずほ 氏との質疑中)
※福島氏の質問も記載します
本日、累次答弁をしておりますように、いわゆる村山談話は戦後五十年を機に出されたものであり、戦後六十年に当たっては当時の小泉内閣が談話を出しているわけでございますが、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えでございます。
福島氏
『どの部分を見直すんでしょうか。四月二十二日のこの委員会で、安倍内閣としてそのまま継承するわけではないと答弁をされています。どこを直しどこを変えないのか。侵略と植民地支配、この文言は変えないということでよろしいですか。』
内閣としての答弁は今答弁したとおりでございます。
福島氏
『この委員会で継承するわけではないとおっしゃっているからなんです。何を継承し、何を継承しないのか。侵略、植民地支配、これは見直すんですか、見直さないんですか。』
我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。その認識において安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代の内閣の立場を引き継ぐ考えであるということは申し上げているとおりでございます。
福島氏
『高市政調会長が、侵略という文言を入れている村山談話にしっくりこないという発言をされました。どう思いますか。』
それは高市政調会長としてのお考えを述べられたんだろうと思いますが、内閣としては今答弁したとおりでございます。
福島氏
『不安だから、分からないから質問しているんです。決して総理は侵略と植民地支配を変えないとは言わないんですよ。小泉談話には入っています。これを変えないと言わないから、だからみんな不安になるんですよ。
どこを変え、どこを変えないのか、今日は教えてくださいよ。侵略、植民地支配、これ変えないんですか。変えるんだったら変えると言ってください。変えないんだったら変えないと言ってください。』
ただいま答弁いたしましたように、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた、その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ立場でございます。
福島氏
『四月二十三日、侵略の定義は定まっていないと答弁しています。第二次世界大戦において日本が行ったのは侵略戦争ですか。』
先ほど来答弁をしておりますように、安倍政権の立場においては、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた、その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えでございます。
福島氏
『侵略と植民地支配を変えないとなぜ言えないんですか。』
これまでも累次申し上げているわけでございますが、安倍内閣として歴代内閣の立場を引き継いでいるわけでございまして、私は安倍内閣として侵略や植民地支配を否定したことは一度もないわけでございまして、これまでの歴代内閣の立場を全体、立場を引き継いでいるということでございます。
福島氏
『否定しないのであれば、侵略、植民地支配、この文言、この考え方は残るということでよろしいんですね。』
今答弁したことが全てでございまして、いずれにせよ、歴史については、これは歴史家に任せるべきだということも答弁しているとおりでございます。
福島氏
『重要なことだから聞いています。あの戦争は侵略戦争ですか。』
今答弁しているのが政府としての立場でございます。
福島氏
『どうして答えられないんでしょうか。侵略戦争かどうか。そして、きっちり小泉談話も村山談話も侵略、植民地支配って書いているんですよ。それを総理がなぜかおっしゃらないんで、みんながやっぱり不安になるんですよ。それはなぜなのか。侵略戦争かどうか、じゃ、それはお答えください。』
今答えているとおりでございまして、歴代政権の立場を引き継いでいるということでございます。同時に、言わば歴史認識については、これは歴史家の手に任せるべきだというのが従来から答弁しているとおりでございます。
福島氏
『いや、頭が悪いから分からないんですね。侵略と植民地支配、この文言変えないかどうか、これは重要なことです。それをなぜか総理はおっしゃらないんですよ。多大な苦痛を与えたとは言う。しかし、それを言わない。
ですから、これがきちっと継承するのかどうか、文言について。教えてください。』
これまでも官房長官からも答弁しているとおりでございまして、安倍内閣としては歴代内閣の立場を引き継いでいるわけでございまして、同時に、歴史認識そのものについては、これは歴史家に任せるべきであろうというのが安倍内閣の立場でございます。
福島氏
『総理の発言はこの委員会でも随分変わっているんですね。そして、この期に及んでなぜそのことを明言しないのか。そのことがやはり非常に、これを変えるんじゃないかという不安を抱かせる。なぜおっしゃらないのか。安倍総理の謎その一というふうに私は思います。
次に、河野官房長官談話について、これを踏襲されますか。』
官房長官談話については、これは官房長官が答弁するということになっております。
福島氏
『第一次安倍内閣のとき、政府として踏襲するとおっしゃっていますよ。麻生総理も、当時総理大臣のとき踏襲するとおっしゃっています。
何で今言えないんですか。だって、衆議院選挙のときは見直すとおっしゃっていたじゃないですか。』
この官房長官談話については、官房長官から答弁するのが適当であろうという判断でございます。
福島氏
『官房長官、踏襲されますか。』
菅官房長官
『この河野談話について私が一貫して申し上げていますのは、これまでの歴史の中で多くの戦争があり、その中で女性の人権が侵害されてきた。二十一世紀こそ人権侵害のない世紀にすることが大事であって、日本としてもそのために全力を尽くしていく。さらに、慰安婦問題について、これは筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々の思い、非常に胸が痛む思いである。この点については、歴代内閣と同じように、安倍内閣も歴代の内閣と同じであります。
さらに、安倍内閣としては、この問題を政治問題、外交問題にさせるべきじゃないというふうに考えています。前回の安倍内閣においてこの問題について閣議決定をされたという経緯も踏まえて、内外の歴史学者、有識者の手により様々な問題について研究が行われている中で、この問題についても学術的観点から更なる検討が重ねられることが望ましい。このように私は答弁しています。』
福島氏
『今の時点では踏襲するが、その研究結果によっては見直すこともあり得るということなんでしょうか。』
菅官房長官
『今私自身が答弁をしたことに私は尽きるんだろうと思います。』
福島氏
『いや、答えてください。今は維持するが、その研究結果によっては変わるんでしょうか。
では、官房長官、この河野官房長官談話、「その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。」、この部分は維持されるんでしょうか。』
菅官房長官
『河野談話に対しての内閣の見解は、今私が申し上げたとおりであります。』
福島氏
『維持されるということでよろしいんですね。』
菅官房長官
『今申し上げたことに尽きます。』
福島氏
『これ、河野官房長官談話に関して、今は維持するが検討するというふうにおっしゃるから、これが変わるんではないかと多くの人が不安に思うし、私も不安に思うわけです。どこかを変えてしまうんじゃないか。
でも、例えば、インドネシア、そしてフィリピン、インドネシアのオランダの捕虜のところから女性たちを連れていく、フィリピンや東ティモールやいろんなところで強制的に連れていったことがあります。そして重要なことは、強制、どうやって連れて、拉致もあるだろうし、欺罔もあるだろうし、人身売買もあるだろうし、そういうふうに直接連れていった場合もあるだろう、しかし総じて彼女たちの状況が人権侵害であった、ここがポイントです。その部分は変えないということでよろしいですか。』
菅官房長官
『私は、見直しを含め検討という内容のことを述べたことはありません。』
福島氏
『見直しをしないということで、改めてよろしいですね。』
菅官房長官
『私は、見直しを含め検討という内容のことを述べたことはいまだにありません。』
福島氏
『総理、それでよろしいんですか。』
この問題については官房長官から答弁することになっております。
福島氏
『とても大事なことに関して総理が答弁をされないのは残念です。村山談話に関しても、どこを維持するのか維持しないのか、はっきりおっしゃらなかったことも極めて残念です。』
■靖国
(民主党 小川 敏夫 氏との質疑中)
言わば靖国神社は元々招魂社として造られたわけでございますが、これは御一新以来、国のために戦った方々の霊が眠っているわけでございます。
つまり、あの明治維新のときにも、確かにこれは官軍側しか祭られていないという指摘もあるのは事実でございますが、それ以来、日清、日露から今日に至っているということでございまして、では、そこに戦犯と言われた人たちが眠っているからどうかと、また、今、アジアの方々にとって侵略した兵士ではないかという御意見でございますが、例えばアーリントン墓地には南軍、北軍それぞれの兵士が眠っているわけでございます。大統領はそこにお参りをして御冥福を祈る。となれば、では南軍が掲げていた奴隷制度を維持するという価値観に対してこれを肯定する行為かどうかということでありまして……(発言する者あり)
これはまさにジョージタウン大学のケビン・ドーク教授が言うように、そこにはそうした理念ではなくて、ただ単に国のために戦った兵士の魂があるだけであると、私はこのように思うわけでございまして、政治家として、政治家であるからこそそこに参るべきだと、このように考えることを否定するものではないということは申し上げておきたいと思います。
出典:参議院HPの議事録
(私の感想)
歴史認識についてのやりとり。。これが国権の最高機関での議論なんでしょうか?
新規作成:2013/10/14
最終更新:2013/10/14